カーボンブリンディングハンマー その2 【デントリペアツールのご紹介】
2016年10月/24日 更新
さて、我々日本人職人が衝撃を受けたブリンディングというデントリペア技術。
その技術がどういう技術かについて解説します。
まず始めに、子供のころよく使った粘土のブロックをイメージしてください。
その真ん中を親指で押すとヘコミが出来ます。
明らかに真ん中にぽつんとヘコミが出来ているのを認識できると思います。
次にそのヘコミがある周辺を親指でトントン押し続けて下さい。
するとだんだんヘコミが目立たなくなっていきます。
さらにそのヘコミがあったその周辺までもかなり広範囲でトントンしてください。
すると、完全にヘコミが認識できなくなります。
これがブリンディングの原理です。
そうです。
厳密に言うとヘコミは直っていないんです。
このブリンディングの語源は
・ブラインド=見えない
・ブレンド=混ぜる
などからきているようです。
ブリンディングという人もブレンディングという人もいます。
要するに誤魔化しの技術なのです。
「なんだー。直ってないだー。」
と思うあなた!
あなどってはいけません。
この誤魔化しの技術はプロが施工するとかなりの精度で
我々プロのデントリペア職人がライトをつけて仕上がりを確認しても
どこを直したのかわからないくらいなんです。
当然、ライトも使わない一般の素人にはまず分かる訳がありません。
しかし!
板金屋さんが手で触ったら
「あれ!?ここなんか変だな。でも自分の目には見えないぞ。」
と驚異的な発言をされた山形の熟練職人さんがいらっしゃいました。
このブリンディングにはデメリットもあります。
それは1㎝以上の大きなヘコミは直せないという事です。
さて、ではこのブリンディングハンマーの使い方です。
まず始めに、このオレンジのキャップを外します。
すると先端がまあるくなった鏡面仕上げのハンマーが出てきます。
この部分で直接ボディーを塗装の上から叩きます。
「え!?直接いっちゃうの!?」
と思うかもしれませんが、このように鏡面に仕上がっているので
塗装に傷がつくことはありません。
この先端の球体は3パタンあって
すごく盛り上がってるものから、平坦に近い仕様の物まであります。
盛り上がってる仕様はボディにふれるときに点で触るので
細かい修正や作業ができます。
また平坦に近い仕様の物は面で叩くことができるので
全体的に落としたいときに使います。
それぞれのシーンや好みによって職人たちはこのハンマーを使い分けます。
とても奥が深い技術です。
特にブラジル系のデントリペア職人がこのブリンディングの技術には長けていて
さらに特殊なハンマーを持っていてとても素晴らしい仕上がりを見せてくれます。
次回はそのブラジル系のブリンディングについて
お話したいと思います。
ヘコミ救急隊 石原潤一