カーボンブリディングハンマー

これはブリンディングといって鉄板の表面を全体的に均す時に使うハンマーです。
オレンジのキャップを外すと

鏡面のハンマーが出てきます。
この鏡面の部分で車のボディーの表面を直接叩きます。
表面が鏡面になっている為に、塗装面が傷つくことはありません。
このブリンディングという技術はデントリペアの技術がさらに発展すると共に生まれた新しい技術です。
ブリンディングとは英語で「見えなくする」という意味です。
ブリンディングが有効なのは1㎝以下の小さなヘコミや、大きなヘコミで角が立ってしまっているような場合です。
その名の通り、厳密的にはブリンディングではヘコミを直しておるわけではありません。
よく小学校で使った四角い箱に入った粘土を思い出して下さい。
その中心を親指で押すと真ん中がへこみます。
明らかに中心にヘコミがあるように見えると思います。
そのヘコミの周りをまた親指で何度も押してみて下さい。
すると、始めのヘコミが目立たなくなっていきます。
もっと押し続けると、とうとう見えなくなります。
これがブリンディングの極意です。
厳密的にはヘコミは直ってはいないのですが、ミクロン単位で鉄板の表面をハンマーで調整する事によってヘコミを見えなくしてしまう。
これがブリンディングという技術です。
初めてこの技術をアメリカ人の職人に見せて頂いたときは衝撃をうけました。
クラウンのリアドアの窓の下すぐに5mm程度のヘコミがありました。
ここは工具が入らないためにひっぱりで直すしかないなと思っていました。
すると、、、。
アメリカ人の職人がおもむろにそのヘコミをブリンディングハンマーで叩きだしました。
するとものの数分で、プロのデントリペア職人の僕らがみてもわからないくらいにヘコミが直っていました。厳密に言うと直ってはいません。見えなくなっているのです。
これは本当に衝撃的でした。
ヘコミは裏から押すか、表から引っ張るかのどちらかでしか直せないと思っていたのに、ヘコミを表から叩いて直す瞬間を見てしまったのです。
まるでマジックを見ているようでした。
これはそんな思い出のあるブリンディングハンマーです。